たぶんスイート。

たぶんスイート。

新宿さんが連れて行ってくれる、某ドーナツ屋のドーナツです。
六本木くんは、甘いもの食べに行こうって誘ったら、喜んでついて行くと思います。

以下、甘い感じのSSです。

「どう?」

ドーナツを一口頬張った六本木に、新宿が尋ねた。 それに対し、六本木は満面の笑みで答えた。

「おいしいです」

それがあまりに嬉しそうで、新宿はつられて半笑いになる。

「顔見りゃわかる」

「じゃあ、聞かないでくださいよ」

六本木は苦笑して、再びドーナツを口に運ぶ。

新宿の膝の上には、彼の分のドーナツの入った紙袋が置かれている。 だが新宿はそれには手をつけようとはせず、ただ楽しそうに目を細めて、隣に座る六本木の様子を眺めていた。

「……っと」

その新宿が、突然身を乗り出した。

「そこ、ついてるぞ」

「え?」

六本木が聞き返すよりも先に、伸ばされた手が彼の顎を捉えた。 そのまま新宿の顔が近付き、体温よりも若干高い熱が、六本木の口の端をかすめた。

「な、何するんですか!」

新宿が顔を離すと、六本木は猛然と抗議した。 だが、頬を紅潮させながら言っても、たいした迫力は無い。 それを受け流し、新宿は答えた。

「うまそうだったから、一口もらった」

「な……っ」

それがあまりにも平然としていて、六本木は返す言葉を失った。

「……じゃあ、新宿さんのも一口ください」

六本木は相変わらず紅潮したままの頬を、不服そうに膨らませながら言った。 はいはい、と苦笑しながら、新宿は膝の上の紙袋を開けてドーナツを取り出そうとする。

だが、六本木はその手に自分の左手を重ねて、制止した。

「違います……こっち」

そう言うと身を乗り出し、相手の唇に、自身のそれを軽く押しつけた。 そしてすぐに離すと、はにかんだように笑った。

「……ごちそうさま」

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